子どもは1歳半になりました。産休・育休を取得し、大学病院へ復帰したのは生後10ヶ月の時でした。
復帰の4ヶ月前から、区役所の子育て相談課や友人・先輩から情報を集めました。息子は自宅と病院の中間地点にある無認可保育園へ通っています。小規模が故のアットホームな雰囲気で、毎日笑顔で園に飛び込んでいってくれます。大学病院には院内保育園もあります。我が家の場合は年度途中の10月に復帰だったので、入園が難しかったですが、保育時間の長さや敷地内にあること、病後児保育の対応があるのは良いですね。
子供を早くから預けることに対しては色んな意見があると思いますが、クラスのお友達とコミュニケーションを取り合っている姿は見ていてとても微笑ましいです。
私自身、子供は欲しいと思っていたものの、出産をいつに、といったような具体的なプランは練ってはいませんでした。専門医を取得し、その後医師9年目で出産したので、結果的に受験の際に勉強時間は作りやすかったです。
眼科では最短で卒後6年で受験資格が得られますが、それが人生のどのタイミングになるかは人によって違うと思います。妊娠中に専門医試験の準備をしていた先輩や子育てをしながら勉強をしていた先輩も見てきましたし、医局も応援体制にあるので、いつが適正というのはないと思っています。
学会や夜の時間帯にある研究会には、参加しにくくなりました。ただ主要学会には託児所がありますし、生涯教育講座には男女共同参画の取り組みで無料託児サービスがあります。子供連れの聴講室を準備してくれる研究会もあるので、単位を取りつつ、知識のブラッシュアップができ、有り難いです。産休・育休中は専門医の資格休止申請をし、更新期日を延長するようにしていました。
全く気にならなかったということありませんでしたが、眼科の手術は比較的時間が短く、椅子に座ってするものが殆どです。そのため他の外科系の診療科に比べると、実際手術をお休みする期間は短いかもしれません。
現在、夫婦が同じ職場なのですが、私の仕事が長引いた時に、夫が医局で子供をみてくれることがあります。そんな状況も温かく受け入れてくれる医局です。直属の上司も2人の子供がいる女性医師なので、息子が病気になった時など、私が後ろめたさを感じずに対応できるよう母親目線で支えてくれ、感謝しています。
園田教授は医局員を大勢の中の1人ではなく、個々としてみてくれ、それぞれがどのように仕事と対峙するのが幸せかを考えてくれます。眼科の中では大所帯の医局ですが、全医局員を対象としたヒアリングで教授とじっくり話ができるのも、九大眼科の特徴だと思います。
女性医局員が多いので、悩みや工夫をシェアできるのも嬉しいですね。
患者さんのご家族の気持ちや小さい子供を連れて病院へくることの大変さを、より実感として感じるようになりました。ただ、今までの生活パターンとはがらりと変わり、出来ること・出来ないことがあります。出来ないことは周りの先生達を頼るしかありません。今はそれ以外のところで自分が出来ることを探し、いずれ我が家の子育てが落ち着いた時には、今度は自分が働く母親・父親のサポートにまわることができたらと思っています。
どちらかを頑張るとどちらかにしわ寄せがきてしまうという葛藤はありますが、力を入れすぎず、良い母・良い妻とは距離がある自分も受容して(夫に甘え、近くに住んでいる義家族に感謝しながら)、長い人生、医師として人として成長できるよう地道に努力したいと思います。