留学体験記
セントルイス留学体験記
福田 洋輔
第5回 〜ラボミーティングでの発表〜(2026年3月9日)
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ラボメンバーとの食事(ベトナム料理屋) -
ラボメンバーとの食事(ハイカロリーなパフェ) -
ラボメンバーとの食事 -
真冬は積雪とともに大きな湖も凍ります -
ラボミーティング発表中
1月には雪がたくさん積もりとても寒い冬でしたが、最近は雪が降ることもなく徐々に暖かくなってきました。私がセントルイスにやってきてもうすぐ1年です。だいぶアメリカ生活について理解してきましたし、色々なトラブルも経験しましたが、何が起きてもなんとかなるような気がしてきます。ラボのメンバーもみなさん親切で、時折みんなで外食に行くのも、私の楽しみの一つです。
以前書いた通り、私の研究内容は” RPE lipid processing”で、日本での大学院在籍時代の研究テーマの一つであった加齢黄斑変性と大きく関わる内容です。ノックアウトマウスやノックインマウスを用いて、In VivoまたはEx Vivoでの実験を行っています。留学先の研究室での以前の実験手法を、自分の実験のために修正したり、画像評価方法を工夫したりと、悪戦苦闘している時は何も進んでいないような気分になることもありますが、うまく行った時の喜びはひとしおです。
少しずつ研究成果が出てきたので、先日ラボミーティングで私が発表する番が巡ってきました。途中経過で簡単に進捗状況を発表することなどは今までのミーティングでもありましたが、今回は私の発表のためだけのラボミーティングでしたので、いつも以上に力が入ります。時間制限などがなく自由に話していいという点は学会発表よりも気にしなくていいのですが、やはり日本語でプレゼンする時よりも英語での発表は緊張感が出てきます。
今までの進捗状況、現在抱えている問題点、これからの研究計画を発表しながら、ボスや同僚たちには貴重な提案や意見をもらいました。他の人に見てもらわないと気がつけないこともありますので、とても参考になりますし、やはり研究は周囲の方々の支えがあってこそだと実感します。これからも年に何度か発表の機会があるので、データを増やしていけるように頑張ろう、と思えるミーティングでした。
第4回 〜アメリカの行事と実験進捗状況〜(2026年1月13日)
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積雪の様子 -
ハロウィンの飾り -
クリスマスのイルミネーション① -
クリスマスのイルミネーション② -
マウス実験中
2026年になりました。私にとってアメリカで迎える初めての新年です。セントルイスの真冬は、寒い時は-20度くらいまで冷え込みます。生まれて初めて九州を出た身にとっては寒くて仕方がないですが、6歳と2歳の娘たちと共に雪だるまを作ったり、雪合戦をしたりと楽しんでおります。
昨年のハロウィンは娘たちに仮装してもらって、住んでいる住宅街を歩いて回りました。直前までは、仮装して「Trick or Treat」と言ったらお菓子がもらえると思い込んでいたのですが、セントルイスのハロウィンは、お菓子を渡す側が「なんかハロウィンジョークを言って!」と要求することも多いという情報を同僚から聞き、急ぎハロウィンジョークをいくつか覚えました。娘たちは最初は知らない人に話しかけるのをためらっていましたが、慣れてくると一人で家を訪ねてくれるようになっていました。これもまた貴重な体験です。
サンクスギビングはたくさんのパイや鳥料理を食べたり、ブラックフライデーで子供たちのおもちゃなどを買いました。クリスマスは1ヶ月以上前からイルミネーションが増えてきます。一軒家では煌びやかに飾っている家も多く、住宅街を回っていると、多くの電飾に圧倒されます。
肝心の研究ですが、試行錯誤を繰り返しながら一歩ずつ進んでいます。毎週のラボのミーティング以外にも、上司のApte教授には定期的に相談に乗ってもらっています。実験のプロトコルを調整したり、評価方法を模索したりと、日々自分で考えなければならないことばかりですが、大学院時代にご指導いただいた先生方の教えを思い出しながら、少しずつ研究を進めています。「今週は実験がうまくいかなかったな」という週もありますが、翌日や翌週に落ち込んだ気分を持ち越さないように過ごせています。
日本や福岡が恋しい気持ちは勿論ありますが、それ以上に留学生活、研究生活を楽しんでいるところです。
第3回 〜所属ラボ以外との交流〜(2025年11月10日)
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セントルイスの紅葉 -
ポスター発表をしている同僚と共に -
眼科での講演の様子 -
交流会の様子 公園にて -
同時期に留学したポスドクたちと
セントルイスでは夏が終わったかと思うと、あっという間に朝は氷点下まで冷え込む時期になりました。そんな束の間の秋でもちゃんと紅葉があって、季節を感じては日本を思い出しています。この秋には所属ラボが引っ越しをしました。引っ越しと言っても徒歩1-2分程度の距離なのですが、新しいところだと何だかテンションが上がります!
さて、いつも基本的には同じラボの人たちと話すことが多いですが、眼科内の違うラボや、眼科以外のポスドクと交流する機会もあります。10月には、他のラボも含めた眼科全体でのポスター発表会や交流会がありました。私は留学から日が浅いので今年は発表しませんでしたが、他の眼科ラボの発表を聞く貴重な機会でした。午前の発表会を終えると、午後は公園で交流会です。フードトラックがいくつか呼ばれていて、そこで好きなものを食べたり、お酒を飲んだり、ビンゴゲームをしたり…平日のお昼とは思えない時間でしたが、いいリフレッシュになりました。来年はぜひ発表もしてみたいと思います。
WashUの眼科では毎週何かしらの講義が開催されており、各ラボの先生方が、それぞれの領域や研究分野について講義をしています。九大眼科でも同様に教育の一環として、初期研修医・専攻医向けに教員の先生方が交代でクルズスを行っていますが、各専門領域の先生がわかりやすく教えてくださるのは大変勉強になると改めて感じるところです。外部からの招待講演も定期的に行われており、とても勉強になります。実験のスケジュールなどが合えば、眼科領域以外の内容の講義を聴講することもあり、例えば「印象に残る発表スライドの作り方」や「上手なプレゼンテーションの仕方」などを聴きました。日本とアメリカではスタイルが異なる部分もありますし、身振り手振りでプレゼンの練習をするのは、日本人としてはやや恥ずかしかい部分もありますが、徐々にアメリカンスタイルに馴染んできた気がします。
第2回(2025年9月5日)
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WashU -
WashU周辺の様子 -
ラボミーティング
留学先のWashington University in St. Louis(略称WashU)は、アメリカ中西部の中規模都市であるセントルイスにあります。比較的四季がはっきりしており、日本で言うと北関東から東北地方くらいで、そこまで雪が降らない地域、といった感じの気候です。私が住んでいる地区は早朝や夜に若い女性が1人で歩いたりジョギングしているのによく遭遇しますし、歩きスマホをしている人もいますから、治安は悪くないです。
Washington Universityはノーベル賞受賞者を現在までに26人を輩出しており、特に医学部は全米トップ10内に位置し、このノーベル賞受賞者の多くはノーベル生理学・医学賞を受賞しています。2025年4月時点で、WashUでポスドク(博士号取得後に働く研究者)として勤務する研究者の75%は医学部に所属し、66%がビザによって海外から留学しており、アジア系が52%と聞きました。日本人はそこまで多くはないですが、近年は徐々に増えているようです。
私が所属しているApte Labには、日本人が多く在籍しています。現在、私も含めて日本から4名の研究者が留学中です。日本人がいないラボで頑張るのにも憧れますが、困った時に相談させていただく日本人の先生がいるのは、とても心強いです。
私の研究テーマは” RPE lipid processing”です。自分が研究に扱うマウスの世話をしながら、徐々に研究を進めています。他の研究者と一緒に実験を行うこともありますし、毎週月曜日に行なっているラボミーティングもとても面白いです。誰か1人が交代でプレゼンをする、というのが2週間に1回行われていますし、この交代制のプレゼンを行わない週は全員が短いプレゼンで、最近の進捗状況を報告し議論をしています。「こんなに面白いデータが出たんだぞ!」と報告できるように、日々頑張ります。
第1回(2025年6月11日)
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送別会 -

ARVO2024にて
こんにちは。2019年入局の福田洋輔です。2025年3月に博士号を取得し、4月よりアメリカ・セントルイスのWashington University in St. Louisで研究留学を始めました。医学生や研修医の方々に、留学の魅力を少しでもお伝えできればと思い、この体験記を書いています。学生の頃から海外留学に興味があり、九州大学眼科でのローテート中に多くの先生方から助言をいただきました。
当教室は留学経験のある先生方が多く、熱心にサポートしてくださる点が大きな魅力です。大学院3年の2023年に園田教授から、Washington University in St. LouisのRajendra Apte教授をご紹介いただきました。Apte教授の講演を以前聴講した際、私の初めての研究テーマであった「網膜下出血」についての講演をされており、深く印象に残っていたこともご縁を感じた一因です。2024年のARVOで面会し、正式に留学が決まりました。日本からシアトル行きの飛行機の中ではずっとApte教授への自己紹介のための英語プレゼンの練習をしており、当日はソワソワと落ち着かない気持ちもあったのですが、初めてお会いしたApte教授は熱心に耳を傾けてくださり、「来年ラボに来るのを待ってるよ!」と言っていただきました。留学が無事に決まった際にはとても安心したのを今でも覚えています。
初のセントルイス留学で不安もありましたが、教授や先輩方の温かい支援を受け、充実したスタートを切ることができました。







