九州大学大学院医学研究院眼科分野 九州大学医学部 眼科

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川野庸一先生 退官記念講演会

 2022年2月19日に福岡歯科大学教授の川野庸一先生の退官記念講演会をWebで行いました。
講演は川野先生の経歴から時系列をおって基礎・臨床研究、かつて担当された難症例、印象深い症例についてお話しいただきました。

資料を使って自身の経歴をお話しする川野庸一先生

1982年〜

 川野先生は1982年に九州大学眼科に入局され、1年目は佐賀医科大学眼科で、2年目は九州大学で研修を始めました。3年目以降は大学院へ進学され、生体防御医学研究所免疫部門の腫瘍免疫グループに所属、讃井先生とともに研究をされました。その後、1990年よりアメリカに留学され、動物を用いた実験的ぶどう膜炎モデルでのT細胞レセプター由来合成ペプチドによるワクチン療法や合成ペプチド静脈注射による免疫療法の研究をされました。川野先生ご自身にとって最初の症例報告であった腫瘍・ぶどう膜炎関連である網膜芽細胞腫や梅毒性網脈絡膜炎についてだけでなく、医局旅行、医局対抗野球、大学院時代や留学先での思い出についてオフ時の懐かしい写真などを交えて懐かしく振り返っていました。

1992年〜

  1992年から2002年には九州大学眼科でベーチェット病再来を担当、延べ250人以上の新規ベーチェット病患者を診療されていたとのことでした。生物製剤登場前のベーチェット病診療における、発作を繰り返す印象深い難症例について、最近では診る機会も少ない、驚くような画像とともに低用量ステロイド薬長期継続投与やアスピリン/シクロスポリン内服併用、手術介入の是非についてなど、現在の治療指針に至るまでの経緯など、非常に分かりやすく解説いただきました。
 1995年より眼腫瘍再来も担当され、脳外科や皮膚科形成グループの先生と協力しながら眼部腫瘍の手術をされてきたことや、網膜芽細胞腫については化学療法併用により眼球温存を行った症例などを提示いただきました。

2002年〜

 2002年から2011年までは浜の町病院へ赴任され、年間500件を超える手術を行ってこられたとのことでした。浜の町病院では血液疾患の方を診察する機会が多く、原田病疑いで紹介の方が急性リンパ性白血病でそのまま内科へ紹介となった方、造血幹細胞移植後のGVHDに伴う眼表面障害で角膜穿孔を起こし角膜移植を行った方、薬剤性ぶどう膜炎の方など、とても印象的な症例についてお伺いいたしました。

  • 浜の町病院のスタッフの方々と並んで写真に写る川野庸一先生
  • 2006年3月天ヶ瀬温泉にて記念撮影

2012年〜

 そして、2012年から10年間、現職となる福岡歯科大眼科で勤務され、歯科大でのぶどう膜炎の統計を報告、梅毒性網脈絡膜炎や猫ひっかき病やトキソプラズマ症などの特徴的な眼底写真を提示いただきました。また学生教育や弓道部部長として学生の部活動にも携わられ、教育にも尽力されているお姿を拝見いたしました。

  • 福岡歯科大眼科のスタッフと並んで写真に写る川野庸一先生
  • 卒業する学生に囲まれて写真に写る川野庸一先生

先生方からのお祝いビデオレター

 講演の最後には多くの先生方から川野先生に関する昔話や優しい人柄についての心温まるエピソードを交えたお祝いのビデオレターをいただき、とても心温まる内容となりました。

ビデオメッセージを送る先生方

最後に

 実は私自身が福岡歯科大勤務時に川野先生に大変お世話になりました。福岡歯科大はスタッフ間の垣根が低く、色々な方とお話する機会があったのですが、眼科スタッフだけでなく、病棟スタッフ、事務スタッフなど各方面から川野先生が頼りにされている様子が伺えました。また、人望が厚く、優しく、手術については外眼部から内眼部までなんでもできる、とても頼りになる先生だと感じていました。私は久々の臨床復帰でしたので怒られるようなこともあったと思うのですが、一度もそのようなことはなく、常に優しく、かつ丁寧に色々なことを教えて頂きました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
 最後になりましたが、川野先生、ご退官おめでとうございます。これから先生のご活躍を祈念しています。

森 雄二郎

花束を抱えた川野庸一先生